どうやら就職も決まった大学4年の12月、九州から山陰旅行の最後に加悦鉄道を訪問しました。豊岡から入り綾部へ抜けましたが、この時初めて乗った宮津線の車窓の美しい光景が印象的でした。加悦鉄道は既に加悦駅構内に自社で使用した古い蒸気機関車や木造客車を集めて展示しており、それらはなかなか見応えがありましたが、国鉄からC58やC57まで持ってきたのはやり過ぎだと思いました。それらの展示車両は現在更に整った環境で保存展示されているらしいので、このサイトでは普通の地方私鉄としての加悦鉄道を偲んでみたいと思います。
1976年12月23日撮影
2002年3月3日製作

国鉄連絡駅の丹後山田へ到着し、加悦鉄道に乗り換えますが、発車まで時間があったので駅の外へ出て車両を眺めてみました。この日は珍しくなった荷台付きのキハ51号が運用に入っていました。手前のドアあたりで車体が折れて下がっているように見えます。丹後山田駅

昭和51年12月23日撮影

同じ場面の反対側です。元船木鉄道昭和11年製造の古豪も感涙ものですが丹後山田駅の佇まいも昭和50年代らしからぬ雰囲気の演出に一役買っているようです。上の写真の側の荷台は板で囲ってありますが、こちら側はそれがありません。丹後山田駅

昭和51年12月23日撮影

発車時間となりキハ51に乗車して終点の加悦まで行きました。間も無く折り返しの丹後山田行きが発車するので加悦駅のはずれで待ち構えた写真です。荷物用ドアのあるキハニですが、この時は内部は仕切りが無く、荷物ドアも閉め切られてロングシートが置かれていました。加悦、丹後三河口間

昭和51年12月23日撮影

加悦駅構内の様子です。浮世離れした桃源郷といった情景ですが、国鉄制式タイプ蒸機のシルエットが雰囲気を壊しているのが残念です。特徴の目立つ駅舎を平凡な平屋にして模型のレイアウトに再現したら最高と思います。入場券を購入すると構内を自由に見学、撮影することが出来ました。加悦駅

昭和51年12月23日撮影

既に他には無いと思われる貴重な片ボギー式のキハ101号ですが、営業運転からは外されているようでした。キハ51同様、反対側の荷台には板囲いがありません。昭和11年製の自社発注車です。背景に元国鉄キハ083が写っていますがこの時点での主力車両になっていました。加悦駅

昭和51年12月23日撮影

いわゆる「森ブタ」、森製作所製の蒸機改造ディーゼル機です。後ろにDC351、DD352と並んだ3両が現役機オールスターキャストです。手前線路上の鉄材は車止めの代用で、ここで切れているレールの断面が見えています。加悦駅

昭和51年12月23日撮影

川崎重工製のDD352号機です。大きなバックミラーや飾り気の無いデザインから産業用然とした機関車ですが、おそらく加悦鉄道一番の稼ぎ頭だと思います。加悦駅

昭和51年12月23日撮影

加悦駅構内を一通り撮影した後、同じキハ51号で丹後山田に戻りました。年末ということもあるのか、荷台や元荷物室が本来の目的に使用されていました。昭和51年とは信じられない光景を見ることが出来ました。丹後山田駅

昭和51年12月23日撮影