その1 ピコとの出会い
「すっかり遅くなっちゃったんだ。」
温子は河川敷のまだ未舗装の道を、タイヤの空気も抜け、道の振動にお尻を撫でながら自転車で、駅から家路を急いでいた。

「あーあ、薄暗いし、パンクしそうだし、会社でドジするしで、はやく帰って、寝よぉーっーと!」
温子の額を、かすかな淡い閃光が走ったとその時、
「ん ?」
ドッカーン!
ガラガラガラー…!
「わっ、何だよーっ、つーの
?」
川の上空から堤防をかすめ、河川の反対側の、堤防に上がってくる道に、誰が買うのかと疑問に思われても仕方のない、比較的りっぱな自動販売機があった。その横の、プラスチック製のゴミ箱に、その光の先端が当たったのであった。
空き缶がそこいらにバラバラにちらばり、自分の足もとまで転がっていた。
温子の携帯電話は、LEDが色を変えながら点滅したり、そのプラスチック製のゴミ箱も同じように、7色の光を放つかのように、ボーっと光っては、消え、消えてはまた光っているのであった。
「これってテレビで見たあれじゃない !」
「そう、放射能
!」
「きっとゴジラの放射能よっ
!」
「嫌だっつーの !」
「まだ死にたくないよー !」
「恋もしたいし
…!」
温子は早くこの場所から逃げる一心でペダルを漕ごうとしたところだった。
「大丈夫 !」
「心配しないでっ
!」
「えっ?誰?誰なの ?」
「大丈夫!わたしはピコ!遠い星からやってきたの!だから大丈夫だよ !」
「あ(な)にー?あなたたちー?缶がしゃべってるーっ
。」
名前は後で知るのだが、ピコというピンク色の缶を先頭に、壊れたプラスチックのゴミ箱から続々というより、ゴソゴソと、他の動かない缶を押しのけて、温子の方へ徐々に歩いて集まって来た。
「心配しないで、わたしたちは遠い宇宙からやってきたの
。」

温子は、
「夢を見てるのかしら?いや、ころんでケガで痛いから、これって夢じゃないし…。」
「ところでぇー、遠い宇宙から来たってー
?」
温子は気丈ではあったが、まだ放心状態から抜けられず、言葉も途切れ途切れに、誰に話しているのやらと
、平静を保つのがやっとだった。
「わたしはピコ
。」、とさっきのピンク色の缶が名前を言い終わるやいなや、それを遮るかのように、
「わしはおちゃ!」
また、同様に、
「ボクはかんた!」
「オレ、かんべ!」
「あたい、ハート!」
「おーいら、たくーだー。…。」
「わしはおちゃ、おちゃ!」
「ーっー、ったくー、一度にしゃべらないでっつーの !」、ピコが皆に命令した!
ところが,また自己紹介の合唱が始まった。
「あたいはいらこ、占い師よ!」
「タハ、たはははは、…。」
「わしはおちゃ、おちゃちゃちゃちゃ!…!」
「オレはかんべ、このところ、かんべんしてよ!」
「2031年5月26日午後6時25分、いらこの星占いによると、温子はー…。」
「何で私の名前、しってるっつーの
?」
「タハ、たはははは、…。」
「わしはおちゃ、おちゃちゃちゃちゃ!…!」
「バカーッ!一緒にしゃべらないっつーの
!!!」
「バカー?」
「バカーって何?」、ピコ以外の他の缶たちが一斉に尋ねた。
「ン?バカーって何
?」、ピコも尋ねた。
「バカー……!」
「・・・・・(温子)」
<<STORY>>
1 2 3 4 5 Outline Character
To be continued .... by Jiro Ohishi