あつことピコのものがたり
その4 公園デビュー
「温子の家の中も飽きてきたおちゃ・・」
「なにそのことば?」
「おちゃくちゃに飽きてきたってことじゃよ」
「めちゃくちゃってこと?」
「それそれ、それじゃよ」
「んーん?そうねぇ?それじゃ、どこか公園でもいこか?」
「公園がいい、公園がいい・・」(一同)
「んー?公園って?」(一同)
「これだよーっ・・」
温子はランラン星人を連れ、公園に行くことにした。
<公園へ急ぐ温子>

「どうやって歩いて行こうかな?」
「こういうのはどうじゃ」
といっておちゃはピューっと空高く舞い上がったかと思えば、あっという間にどこかへ飛んで行ってしまった。
「長老がどっかに行っちゃった」(一同)
「えー大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫」(一同)
「それにしてもすごく速いわね。さすが宇宙から来た事だけあるわね」
「それで、どこの公園に行くの?」
リーダーのピコが訪ねた。
「わたしが前に自転車でキミたちと出会ったところ。きれいで静かな河川敷が公園になっているのよ」
「いこう、いこう」(一同)
「で、どうやって見つからないように行くかが問題よ」
と、温子が言うや否や、ピコもゆうたも、その他ランラン星人たちが、温子の目の前からパッと消えた。
「あらー、キミたちー、なんで消えちゃったのよー」
温子は右に左に、上に下に首を回し、あたりを見まわしたが、既にこの部屋にはいない。
玄関を出ておもむろにきょろきょろと周りを探してみたが、やはりどこにも姿が見当たらない。
と、そこへピコが現れた・
「もうみんな公園に行ってるよ」
「えー、そうなの?そんなに速く?」
「だって、あつこが見つからないようにって言ったから、瞬間的に移動したってわけなの」
「それで公園にいるの?」
「捨ててある缶々を集めて遊んだり、公園に来ている犬と遊んだりしてるよ」
「なんか、いやな予感がするわね。ピコ、わたしも急いで行くわ」
温子はそう言って自転車にまたがり、フルパワーで河川敷の公園に急いだ。そしていやな予感は的中した。
<RanRan
on the Funky Music>

「さあさあ、世にも珍しい空き缶のダンスをご覧あれー」
と、かんべが集めてきた空き缶を、子供たちも前でファンキーなリズムに合わせて、踊らせている。
見ている子供たちは大喜びである。
「もっとやって、もっとやって」
大人たちは何が起こっているのか理解できず、目をぱちくりさせている。
「あらよっと、こらさっと、・・」
さらにエスカレートし、数10個もの空き缶が空を舞い、鳥のように群れをなして飛ぶ姿を見るにつけ、何人かいた大人たちは「うーん」といって、失神する者まで出る始末だった。
「あーあ、来てみれば案の定、この始末よ。もうー見てられないー」
温子は恥ずかしいどころか、
「これって犯罪になるかも・・」
と、少し心配になってきた。
と、そこへおちゃが戻ってきた。
「おー、みんなやっとるのおー」
とばかり、その群れをなす中に飛び込み、
「空の上でランラダンスじゃ」
と、数10の缶を集め、空いっぱいにいろいろな形を作った。
「どうじゃ、おもしろいかのー」
子供たちに尋ねた。
「うーん。とっても、おもしろいよ。こんどは汽車!」
「どうじゃ、これが汽車じゃよー」
「わーい、わーい、汽車だ、汽車だ」
「これは何なんじゃ?」
「ひこーきだ、わーい、わーい」
大人たちをよそに子供らは大喜びであった。
「・・・・わたしが失神したくなるわ・・」
温子は、横になっている大人たちを見て、
「そろそろ帰るわよー」
と、大声で叫んだ。
「あっ、あのお姉ちゃんが親分なんだ」
子供たちが温子の声に振り返った。
「・・えっ、お、親分・・?」
動揺を隠せない。
「・・そっ、その、親分なんかじゃ・・」
「親分、もっとやって、もっとやって・・」
「タハハハハ」
こうして、ランラン星人たちは缶を元通りのごみ箱に戻し、温子は顔を隠すかのようにその場を小走りに自転車に乗った。
「あーあ、案の定だもんね」
「案の定って?」
ピコが尋ねた。
「予感が当たったってこと」
「いい予感だったでしょ?」
「ん?・・まあ、いい予感かもね。キミたちのデビューだからね・・」
夕方のニュースは突然の速報であった。主婦の一人が子どもたちのために持っていたビデオカメラで、冷静にもその様子を録画していたのであった。その夜、たまたま放送されていたUFO番組では、そのビデオが紹介され、喧々諤々の討論の修羅場となった。
「誰かが面白おかしく、缶をつるしたりして、録画したんですよ。いたずらですね。」
「何10個もの缶をですか?糸も見えないですよ。本物であると言わざるを得ないっ!」
「そうです。缶の向こうの飛行機は調べましたが、APO航空A765便で、この時間この上空を飛んでいます。ズームインして機体を拡大したところこの便であることがわかりました。いたずらでここまで手の込んだことはしませんよ。」
「今のコンピュータ技術であれば、なんでも出来ます。いたずらです。」
<夕刊特報>
「なにおー、わしらがいたずらじゃてー?今から、この番組に飛んで行こうかな?」
「いかなくていい、いかなくていい」
温子がおちゃに手を横に振り、本当に困ったしぐさでいった。
「そうかのうー。行ったら本当じゃとわかるんじゃが」
「だから、本当だとわからない方がいいのよ。そういうこともあるの、この地球では・・」
「むずかしいもんじゃのぅ・・」
「ところでおちゃさんは、どこへ行ってたの?」
「わしか?わしは、公園って言ったもんじゃから、一番大きな公園へ行ってきたぞ」
「一番大きな公園って?」
「テレビで言っていた、東京ディズニーランドjしゃよ」
「エー、あんなとこまで?何100キロ離れてると思うのよ?」
「わしらは一瞬じゃよ。わしのアトラクションの方が、他のものよりおもしろくてのー。子供たちも大喜びじゃったよ」
「聞きたくない、聞きたくない」
温子は、両手で両耳をふさぎ、
「そうだったのか・・・いちばん目立ちたがり屋の長老がディズニーランドに行ってたとは・・・」
温子の家は首都、東京から330キロ離れている。
今夜の東京のニュース番組が、温子の見た地方のニュース番組よりおそろしいばかりに内容がふんだんで、特別番組まで組まれていようとは・・・。
「みたくない、みたくない・・・」
温子は、今度は両手で両目をふさぎ、
「今日はテレビは絶対に見ないぞ、と少し静かになったランラン星人たちを見て、
「ふっ・・」、と笑顔で笑うのであった。
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To be continued .... by Jiro Ohishi